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リスクの受容とリスクの無視 [リスク管理]
先ほど午後3時現在の為替レートは1US$=82.92円。
ドル円相場も最近はすっかり80円台の前半が定着した感じですが、皆様の会社では為替対策は何か手を打たれているでしょうか。
私の知人Aさんが勤めている会社では海外に100%出資の子会社があります。
毎年本社宛に配当金の送金があるそうなのですが、特に為替予約等によるリスクヘッジは行っていなかったとのこと。
昨年円高が進行している時にAさんが
「為替差損が増えているので、為替予約で為替リスクを回避したらどうか。」
と提案しました。
その時は1US$が70円台に突入するか、どうかといった時期だったので、その時為替予約を行うと1,000万円以上の損失が出る見込でした。
そして、社内で対応を協議した結果、その時点で損失を確定するのはいやだという結論になり、結果的に予約はしなかったことでした。
その会社では、どうも、
「為替相場が変動して為替差損が出るのは、会社としてはどうしようもない事なので・・・」
という風土があるらしく、毎年3月の期末になって円ベースでの利益や損失を確定させていた模様です。
このため、為替予約を協議した時より若干円安になった時に、Aさんは、
「あの時Aさんの言うことを聞いて損を出さないで、よかった。」
というような嫌味を同僚から言われたらしいのです。
さて、皆様はこの事例を読まれてどのように思われたのでしょうか。
ドル円相場がどう動くかということは一企業だけでどうにかできる問題ではありません。
前述の会社の場合、
会社がどうすることもできない問題である。
↓
その事が原因で損失が出ても、会社の誰も悪くない。
↓
したがって、問題に対しては何も対応策をしない。
という結論になった模様です。
Aさんは為替が変動する中、
「会社として何も手をうたずにみすみす損失を膨らませることは良くない。対応策を実施しよう!」
と主張された訳ですが、社内では孤立無援になってしまったのでした。
リスクに対する対応策としては、
・回避
・低減
・移転(共有)
・受容
といった方法があります。
このうち、Aさんは為替予約を行うことで、それ以上円高になっても、会社の損失が膨らまないようにすることを提案し、いわばリスクの影響の大きさを低減すべきと考えた訳です。
一方、その会社の最終的な対応は、リスクの影響の大きさを低減する行動を一切とらないという、リスクの受容のようにも一瞬見えます。
しかし、よくよく話を聞くと、誰も損失を確定させて責任を取りたくないという事情から見て見ぬふりをした、というのが実態に近く、リスクを受容したと言うよりは、リスクの無視、先送りと言えます。
為替が変動して、利益が出る場合もあれば損失の出る場合もあります。今回は議論した時よりも結果的に円安方向に触れたため、為替差損は減っている模様ですが、それはいわば後出しジャンケンのようなもの。もし、より円高になっていれば、為替差損はより膨らんでいた訳です。
そして、Aさんも無理やり為替予約を実施して差損を確定させろと言っていたのではありません。真に言いたかったことは、変動する相場に対して、会社としての対応方針を決め、例えば、
・為替差損が2,000万以上になりそうな場合は損切りする
・1取引の利益で最低500万円利益は確保できるよう社内レートを設定する
といった基準を設けて業務を行おうということ。
大手企業ではごく当たり前に実行していることかも知れませんが、なかなか社内でその仕組みを定着させるには時間がかかりそうな感じです。
もちろん、経営資源が限られていることから、本当はリスク・コントロールのために、保険に入ったり、システムを導入したり、したいけれど、できないので、仕方なくリスクを受容せざるを得ないという場合も会社にはあります。
しかし、やろうと思えば、対応策を実行できるにも関わらず、臭いものには蓋をするケースは内容が全く異なります。
その場合、常に結果だけから判断する癖がつき、状況がより悪くなっても誰も責任を取らないという状況や、いつも神風が吹くことを期待するという他人任せの風潮を生むことにもなりかねません。
人も会社もその気があれば、自らの行動を変えていくことができます。やるべきことをやってこそ、道は開けると思うのですが・・・。
ドル円相場も最近はすっかり80円台の前半が定着した感じですが、皆様の会社では為替対策は何か手を打たれているでしょうか。
私の知人Aさんが勤めている会社では海外に100%出資の子会社があります。
毎年本社宛に配当金の送金があるそうなのですが、特に為替予約等によるリスクヘッジは行っていなかったとのこと。
昨年円高が進行している時にAさんが
「為替差損が増えているので、為替予約で為替リスクを回避したらどうか。」
と提案しました。
その時は1US$が70円台に突入するか、どうかといった時期だったので、その時為替予約を行うと1,000万円以上の損失が出る見込でした。
そして、社内で対応を協議した結果、その時点で損失を確定するのはいやだという結論になり、結果的に予約はしなかったことでした。
その会社では、どうも、
「為替相場が変動して為替差損が出るのは、会社としてはどうしようもない事なので・・・」
という風土があるらしく、毎年3月の期末になって円ベースでの利益や損失を確定させていた模様です。
このため、為替予約を協議した時より若干円安になった時に、Aさんは、
「あの時Aさんの言うことを聞いて損を出さないで、よかった。」
というような嫌味を同僚から言われたらしいのです。
さて、皆様はこの事例を読まれてどのように思われたのでしょうか。
ドル円相場がどう動くかということは一企業だけでどうにかできる問題ではありません。
前述の会社の場合、
会社がどうすることもできない問題である。
↓
その事が原因で損失が出ても、会社の誰も悪くない。
↓
したがって、問題に対しては何も対応策をしない。
という結論になった模様です。
Aさんは為替が変動する中、
「会社として何も手をうたずにみすみす損失を膨らませることは良くない。対応策を実施しよう!」
と主張された訳ですが、社内では孤立無援になってしまったのでした。
リスクに対する対応策としては、
・回避
・低減
・移転(共有)
・受容
といった方法があります。
このうち、Aさんは為替予約を行うことで、それ以上円高になっても、会社の損失が膨らまないようにすることを提案し、いわばリスクの影響の大きさを低減すべきと考えた訳です。
一方、その会社の最終的な対応は、リスクの影響の大きさを低減する行動を一切とらないという、リスクの受容のようにも一瞬見えます。
しかし、よくよく話を聞くと、誰も損失を確定させて責任を取りたくないという事情から見て見ぬふりをした、というのが実態に近く、リスクを受容したと言うよりは、リスクの無視、先送りと言えます。
為替が変動して、利益が出る場合もあれば損失の出る場合もあります。今回は議論した時よりも結果的に円安方向に触れたため、為替差損は減っている模様ですが、それはいわば後出しジャンケンのようなもの。もし、より円高になっていれば、為替差損はより膨らんでいた訳です。
そして、Aさんも無理やり為替予約を実施して差損を確定させろと言っていたのではありません。真に言いたかったことは、変動する相場に対して、会社としての対応方針を決め、例えば、
・為替差損が2,000万以上になりそうな場合は損切りする
・1取引の利益で最低500万円利益は確保できるよう社内レートを設定する
といった基準を設けて業務を行おうということ。
大手企業ではごく当たり前に実行していることかも知れませんが、なかなか社内でその仕組みを定着させるには時間がかかりそうな感じです。
もちろん、経営資源が限られていることから、本当はリスク・コントロールのために、保険に入ったり、システムを導入したり、したいけれど、できないので、仕方なくリスクを受容せざるを得ないという場合も会社にはあります。
しかし、やろうと思えば、対応策を実行できるにも関わらず、臭いものには蓋をするケースは内容が全く異なります。
その場合、常に結果だけから判断する癖がつき、状況がより悪くなっても誰も責任を取らないという状況や、いつも神風が吹くことを期待するという他人任せの風潮を生むことにもなりかねません。
人も会社もその気があれば、自らの行動を変えていくことができます。やるべきことをやってこそ、道は開けると思うのですが・・・。
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