そもそも「会社の土台」ってなに？

　私は「会社の土台」を作りましょうということを提唱しているのですが、「会社の土台」って具体的にはどういうことかという質問を時々いただきます。

　私の考える「会社の土台」とは「再現能力」を持った会社の体制ということです。

　では、ここでいう「再現能力」とは何でしょうか。

　会社の場合、たとえ経営者が同じであっても、新入社員の入社があったり、他社への転職があったりして社員の入れ替わりがあります。
　このため、会社の実務を担う構成員の人はいつも同じという訳ではありません。

　また、仮に社員の顔ぶれが一緒であったとしても、社員が経験を積むにつれて業務がより効率的に行われる場合もあれば、逆に仕事に慣れてしまうことでちょっとした手抜きがあったり、見落としがあったりして、思わぬ事故を招いたりすることもあります。

　したがって、会社として常に一定レベル以上の商品を作り出し、サービスを提供し続けるということはある意味奇跡に近いことかもしれません。

　一方で、なんとか努力して社内的な水準を維持していたとしても、現在はＩＴ技術の進歩もあって情報がたちどころに拡販し、非常に変化の激しい時代です。

　ましてや、ビジネスは競争の世界。
　他社が自社以上の商品やサービスを提供するようになると、たちまち、自社の売上高は激減してしまいます。

　真にお金を稼ぐ実力のある人は、たとえ今ある全財産を失っても、またしばらくすると多額の富を築くことができると言われています。

　個人である自然人の場合には、その人の知識、経験、ノウハウがその脳の中、骨の髄に蓄積されており、実力のある人はたとえピンチに陥ったとしてもなんとかその窮地を脱して最終的には成功をつかんでおられるのだと思います。

　かたや法人の場合はどうでしょうか。

　状況はより複雑で入り組んでいます。
　もし、10人の実力者が集まって会社を運営していたとしても、それぞれの考え方、仕事のやり方、目標、感情が異なるために1人、1人なら問題ない場合であっても会社全体としては上手く機能しないケースも多々あります。

　したがって、会社の場合は個々の社員の人が実力を磨き、能力を発揮するだけでは不充分で、それを全体として機能させる仕組みを作っていかなければなりません。

　そして、その仕組みがきちんと構築できている会社こそが、様々な状況の変化に柔軟に対応し、一時的にピンチに陥ったとしても早期に原状を回復し、場合によってはその経験値を活かして危機を克服した時には従来よりも一歩も二歩も前進していくことができるのです。

　「会社の土台」すなわち、「再現能力」は次の4つの力から成り立ちます。

　①発見力
　②準備力
　③対応力
　④継続力

　①発見力

　発見力とは、リスクを事前に把握する力、ビジネスチャンスをきっちりつかむ力です。


　②準備力

　準備力とは、リスクに備え、そのリスクを最小化するための施策をうつ力、ビジネスチャンスを自社の収益にきちんと結びつけるための準備を日頃から行う力です。


　③対応力

　対応力とは、不幸にもリスクが顕在化した時にその解決を迅速かつ的確に行う力、ビジネスチャンスをスピーディーかつ着実に収益として実現する力です。


　④継続力

　継続力とは、常にリスクへの対応を怠らず、新たなリスク発見を持続する力、スポット的な収益だけでなく、継続的、拡大的なビジネスチャンスを日々発掘する力です。


　以上でもお分かりのように、「会社の土台」というのは単に会社の管理面だけに留まるものではなく、営業面にも通じる仕組みです。

　危機という字は危険と機会から成ります。

　「会社の土台」はいわば危機管理能力。

　危険に備え、チャンスを逃さない体制をぜひとも作っていきましょう。　

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